旅日記26  ドバイ(UAE)トランジット編 Vol 2  「さらばフリカ!」

 

33日(晴)〜4日(晴)

 

 タンザニア、ザンジバルタウンのゲストハウスで、すぐ目の前にあるカテドラル教会の聖歌隊の歌声で目を覚ます。

 しばらくその歌声に耳を傾けていたが、約束の時間が近づいたので食堂で軽めの朝食を取り、身支度を整えてサオリさん達と共に市場に出かける。

 

 色々買い物をしてからパジェに帰るというので、少しだけお手伝いをした後僕はサオリさん達と別れて、部屋に戻って荷物をまとめチェックアウトを済ませると、しばらくタウンを1人ぶらついて時間をつぶす。

 この街はイスラム調の石造りの家々が並び、その隙間を縫うように細い路地が迷路のように張り巡らされている。少しだけ迷ったがどうにか予定の時間にバス停に辿り着き、空港行きのピックアップに乗りこんだ。

 タンザニアの太鼓やら何やらで荷物が一杯だったのだが、僕が先程までサオリさん達と一緒だったことを話すとアフリカン達が荷物を持ってくれたりして、これはお礼にチップでもわたさなければいけないかなと思っていると、空港の一つ手前のバス停?で「また会おうフレンド!」と言い残し彼達は笑顔で去って行った。

 僕も笑顔でアサンテサーナ(ありがとう)と返したのだが、ひょっとしたら下心があるのではと疑った自分が恥ずかしくなる。

 

 空港では相変わらずアフリカ的な気の遠くなるような対応で待たされ少し閉口したのだが、出国手続きを済ませロビーで待っている時ふと、自分が手持ちのタンザニアシリングを再両替していないことに気づき、あわてて空港職員に相談する。

 すると大丈夫と言ってイミグレーションの所で荷物を預かってくれ、職員1人が付き添って空港の外の両替所までついてきてくれ、両替を済ませた後何の手続きも無しに再度イミグレーションを通過してまた空港のゲートまで戻ってくることが出来た。

 いい加減でとかくうるさいアフリカンを自分は少し毛嫌いしているところがあったのだが、このような親切に触れることも多く、ある意味ものすごく裏表の無い人間味が溢れた人達なのかもしれないと、このアフリカの旅を振り返って物思いにふけっていた。

 

 1時間半程待ってケニア航空の飛行機はモンバサに飛び立ち、1時間弱のフライトで同空港へと降り立つ。

 ここを経由してナイロビに向かうのだが、同じ飛行機で乗り換えが無いにもかかわらず全員が強制的にイミグレーションでケニアの入国手続きを取らされた。

 おかしな国だと不信に思っていたのだが、ナイロビの空港に降り立った時に理由が判明する。

 ナイロビの空港に到着するとそこは国内線のエアポートで、当然そこにはイミグレーションというものが無い。荷物だけを受け取った後、15分程歩いて2つ先の第一国際線ターミナルまで移動する。

 空港の外は危険だと前回はかなりビクついていたが、ダルエスサラームで少しなれたせいか、注意していれば昼間なら大丈夫という変な自信があり、そのまま1人歩いて何の問題もなく再度イミグレーションで出国手続きを済ませ、搭乗ゲートの前まで来ることができた。

 まだ少し時間があったので空港の免税店をぶらついていると、気に入ったTシャツがあり110$だったのでつい2枚買ってしまう。少し財布の紐が緩んでいるなと思い気を引き締めなおすことにする。

 ゲート前でドバイ行きの飛行機を待っているとケニア人の青年が声をかけてきた。何だろうと警戒したが、彼は初めて飛行機に乗るとかで不安そうにこのフライトはここで待っていれば大丈夫なのかと聞いてきた。

 チケットを見せてもらうと僕と同じ便だった。あまり悪い奴にも思えなかったので一緒に座って時間まで話をすることにする。

 彼は25歳のケニア人で今まで工房で木彫りやら何やらのデザイナー?をしていたらしいのだが、この後2年程ドバイの学校で勉強するチャンスを得て留学するのだと言っていた。

 他にも音楽の話やスポーツの話をしていたが、彼はアメリカのソウルミュージックをはじめとするブラックミュージックが好きだと言っていた。何故アメリカのソウルなんだい?と聞くと、音楽的にも優れているし、それに僕も同じブラックだからねと笑っていた。

 飛行機に乗りこみ彼と別れて自分の席につく。相変わらずエミレーツのシートは狭く快適と言うには程遠かったが、それでも何とか6時間程してドバイの空港に無事到着する。今回はここでの乗り換えが1時間しかない為、慌てて乗り換えロビーを駆け抜けバンコク行きの飛行機に乗り込んだ。

 ドバイ〜バンコク間の飛行機は機体も大きく、このフライトは空席が多かったので快適に移動の間眠る事が出来た。

 6時間程して飛行機はタイのドンムアン空港へと降り立ち、荷物を受け取って無事空港の外まで出てきた。

 疲れていたのでタクシーを拾おうと乗り場で待つが、ものすごい数の人が並んでいるにもかかわらずタクシーがまばらにしか来ない。

 30分待ったところで疲労がピークに達し、そのまま列を離れてバス乗り場まで来てしまった。そこから1回乗り換えてサヤーム近くの馴染みのゲストハウスまで戻ってきたのはザンジバルタウンを離れてから約27時間後のこと。

 タイとタンザニアには4時間の時差もあるので、時計的には31時間経過した事になる。

 

 勝手知ったるゲストハウスのベットに潜り込むと、溜まっていた疲労がどっと出たのかそのまま朝まで12時間程ひたすら眠り続ける。

 

 

 

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