旅日記34  オーストラリア編 Vol.4
「エアーズロックのから」

 

 415日(晴のち雨)〜16日(曇)〜17日(晴)

 

 朝6時に宿をチェックアウトし空港へ向かう。7時半発のカンタス航空の飛行機は3時間後エアーズロックへと到着する。

 無料のシャトルバスに乗ってエアーズロックリゾートのロッジのドミトリーにチェックインする。ここは少し高く2泊で45$、一泊あたり約1400円。

 すぐ隣のホテルのツアーインフォメーションで今日のオルガ&エアーズロックサンセットと翌朝のエアーズロックサンライズとクライムを申し込む。ディスカウントしてもらってこれで98$、約6000円。噂通り高い。

 

 昼過ぎ迎えのワゴンに乗り込む。乗客は僕の他に日本人男性と白人のおばさんの3人だけ。日本人の男性と話してみる。彼の名前は幸野さん。4年前ニュージーランドでワーキングホリデーをされて以来、世界のあちこちを旅しているとのこと。

 

 オルガについてから2時間半のコースを歩く。エアーズロック以上と聞いていたが、さすがにすごい迫力がある。

 ただ問題はハエ。以前ケニアで一緒だったドイツ人のおっさんにエアーズのハエはすごいと聞いていたのだが、ワーホリのラウンダー達は大した事ないと言っていたので安心していたが来てみてびっくり。目、鼻、口とあらゆる穴に飛び込んできて体にもとまりまくる。季節によって差があるのだろうか。

 そのスケールも半端では無く、幸野さんはフライネットを用意して被っていたが、彼のリュックには100匹近くハエがぎっしりととまっていた。さすがにぞっとする。

 

 2時間弱程歩いてオルガを堪能し、さあ帰り道というところで激しい雨が降りだした。たまらず大木の下で雨宿りする。

 しばらくすれば止むかと思っていた雨はどんどん勢いを増し、スコールを通りこして嵐になった。

 雷も鳴りはじめ、隣の木に雷の落ちた形跡があったので、ここは危ないととりあえずまだ残り30分の道程をずぶ濡れになりながらワゴンまで引き返す。

 途中後ろを振り返ると、オルガに無数の滝が出来ていた。これもすごい。

 

 びしょぬれのままワゴンに乗り込むと、サンセットだけの客なのか白人がさらに6人程乗っていた。女性もいたのだが、日本人は僕と幸野さんだけだったので、2人でパンツ1枚になる。風邪をひくからとそうしたのだが、殆ど旅の恥じは何とかの状態に近いかった。

 

 これで宿に引き返すかと思いきや、エアーズロックのサンセットもエアーズロック滝見物ツアーに名称を変え強行された。

 しかし噂には聞いていたが、エアーズロックから流れ落ちる無数の滝も圧巻だった。サンセットが見られなかったのは残念だったが、これはこれで感動する。ただ1つ、僕と幸野さんがパンツ1枚のままだったのはかなりお間抜けな構図ではあったのだけれど。

 

 夜になって宿でバーベキューパーティーが始まる。ただかなりここは高いので、幸野さんとワリカンでカンガルーステーキを1人前頼む。これで14$。ビールも2人で6$合わせて1人あたり10$、約60円。

 ついこの前エサをあげていたカンガルーを食べている自分が不思議ではあったが、柔らかい牛肉といった感じでなかなか美味かった。

 

 雨はとどまるところを知らず、激しく降りつづける。明朝のサンライズは無理だろうとレセプションで日程を1日伸ばしてもらうことにした。

 

 翌日は特に何をするわけでもなく、ただ洗濯をして過ごす。リゾート内を歩いて回るとスーパーが1件あったので食料を買い込んで自炊をすることに。とうとう旅で自炊生活まではじまった。

 幸野さんと材料費をワリカンしないかと持ちかけるとOKというので、さらに安上がりに。昼夜ともパンと牛のステーキを食べて夜ビールを飲んで1日の食費が8$、約500円。かなり安上がりだ。これからは出きる限りこれにしよう。

 

 明日もしエアーズロックに登れなかったら登れるまで滞在を伸ばそうと幸野さんと話す。ただもし登れてしまうとクライムのツアーの違う幸野さんとは今日で最後になってしまう為アドレスを交換した。

 彼もユーラシア横断を計画しているらしく、僕はヨーロッパから日本へ、彼は逆へとルートは違うがもし何処かで会えたらなどと互いの夢を話しあう。ただ彼から耳より名情報が2つあった。1つはこの横断で、金銭的な理由で実現するとしたら最も可能性の高いのがギリシャからトルコ、イラン、パキスタンへ抜けるルートで、その後をインド、ネパール、チベット越えで中国かなと思っていたのがパキスタンから直接中国に抜けるルートがあるらしく、その方が全然楽だということだった。

 

 また彼はニュージーランドが詳しいので、色々話を聞いていると、結構ニュージーではヒッチハイクができるとのこと。彼もヒッチハイクをやったと言っていた。

 僕はクライストチャーチインアウトなのだが、もしできるならそこからオークランドまでヒッチハイクで行ってみようかなという気にさせられる。ひたすらのんびりしようと思ったニュージーランドだが、南北ヒッチハイクの旅もなかなか面白そうだ。

 

 最終日、天気は雲も多かったがそれでもなんとか晴れてくれた。サンライズはまずまずといった印象。ただ今回のテーマだったエアーズロッククライムがOKだったのはラッキーだった。

 2時間の往復は結構ハードだ。初めは急な登りの為張られたチェーンづたいに登って行く。このチェーンが無くなるところで約半分。その後は白いラインが引かれたところをまたひたすら歩くことになる。

  

 まだか、いつになったら着くんだ!と少し弱気になる頃エアーズロックの頂に到着する。そしてその眺めは今までの苦労がすべて拭き飛ぶくらい最高だった。

 この頃になると空は晴れ渡り、またエアーズロックの頂から眺めるオルガがひときわ美しかった。そうだ、この為にここにやってきたんだとそんな感動をあらためて実感させられる光景だった。

 

 しばらくここで至福の時を過ごした後、来た道を引き返す。

 行きは良いけど帰りはかなり怖いよと聞いていたのだが、思った程でもなくスイスイと降りてきてしまった。風が結構強くなってきており、この時クライムが中止になりゲートが閉まったことを知ったのは降りてきた後だったが、それでもアンコールワットの恐怖に比べれば楽勝だった。あの時ひょっとしたら自分は高所恐怖症なのではと思ったのだがどうやら違ったらしい。

 

 エアーズに昇れてしまったので、予定通りシドニーへ向かうことにする。幸野さんにお別れを言おうと探すがどうやらでかけているようだ。

 

 1時過ぎのフライトでシドニーに戻ると、空港からシャトルバスでシドニー駅まで行きそこから歩いて初日に泊まったホテルに60$の大金をはらってチェックインする。

 久々の、そして最後の贅沢と涙を飲んで3日分の宿泊費を差し出す。それを承知で荷物を預けたのだから仕方ない。

 

 久々に自分だけの空間を満喫する。シャワーを浴びてふかふかのベットに入る。でも少し落ち着かない。

 明日はまた早いので眠ることにする。17日間のオーストラリアはこれで幕を閉じ、明日の午後にはニュージーランドなのかと思うと少し寂しさと期待感の入り混じった複雑な思いを抱いて眠りについた。

 

 

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