旅日記40  アメリカ(USA)編vol.3
「やってきましたランドキャニオン」

  5月13日(晴)

 朝5時起きで、ユースの前に来たピックアップの車に乗り、プライベート空港前のバスターミナルで長距離バスに乗り換えた。

 今日は、先日申し込んだグランドキャニオンの1日バスツアーに参加したのだ。

 本当は自分でグレイハウンドで移動して、ここで1、2泊するつもりでいたのだが、それだと移動費だけで120$近くかかってしまう。しかしこのツアーは昼食付で69$にディスカウントされていたので、本来なら苦手な?ツアーに参加したのだった。  片道5時間強かけて、バスはグランドキャニオンナショナルパークへと到着する。ここはアメリカで今回僕にとって、ロスのカルフォルニア、ラスべガスのネバダに続いて3つ目のアリゾナ州にある。

 窓越しの風景は、時折緑ある赤茶色の砂漠の風景が続き、オーストラリアのエアーズロックへ行った時と似ているな、と遠く離れた南半球の光景を思い出していた。

 途中ハーバーダムというダムに行く。ここは人造湖と言ってもいいくらい大きなダムだったが、僕が行きたいのはここではないと、あまり興味を持てなかった。

 パーク内のロッジでビュッフェのランチを取った後、バスはブライトエンジェルロッジに到着する。ここで感動のグランドキャニオンとご対面!となるはずだったが、実際見た感想は、ああ、はいはい、グランドキャニオンだね〜といった程度。旅が長くなると不感症になってくるのだろうか。

 40分の自由時間が長く感じられたが、次のポイント、ヤパパイでその印象はかき消された。  ヤパパイポイント、ここはよく写真で見られるグランドキャニオンがそのまま見られる場所で、園内でも1,2を争う景観として有名らしい。

 そしてそれは噂にたがわぬものだった。おおっ!グランドキャニオンだねえ〜!と田舎から出てきたおっさんのような事をつぶやく自分。最近どうやらオヤジ度も増したらしい。しかし180度パノラマで広がる大峡谷には、来て良かったと感じるまでそれほど時間を必要としなかった。

   続いてキャニオンサウスリムの、イーストリムをさらに進んで、マーサーポイントへ到着する。ここもヤパパイに負けずおとらず素晴らしい。

 思わず歌い出したくなり、ギターを持ってくるんだったと悔やむが、実際ここで歌ったら谷に落とされかねないなと、そんな事を考えてニマニマ笑っていた。どうやら妄想癖まで出てきたようだ。このままではかなりあぶない人になってしまう。気をつけないといけない。

 さあ、グランドキャニオンも堪能したし、帰るぞとバスの車内のトイレで用を済ませ、自分の席にすわる。続いてグシャッと嫌な感触。

 おそるおそる腰を半分浮かせて見てみると、、、眼鏡。しかもレンズが片方パックリと割れている。 オーマイガー!どうして僕はこう毎回毎回つけなくていいオチをつけてしまうのだろうと、根っからの芸人根性ならぬ、自分のお間抜けさを呪いながら、割れたレンズを拾い集めそっと座席の下に置いた。

 ごめんね運ちゃんと、心の中小さく呟く。でもこれから眼鏡をどうしたものか。僕は裸眼で視力が0.1しかない。

 もう5年も使っていた眼鏡だったので、寿命とあきらめつつも、どうせなら旅が終わるまで持ってくれればとため息をつく。南米あたりで安い眼鏡が作れるだろうか。

 さらに帰り6時間程かけてラスベガスのユースに戻った。ここでさらに小銭入れを無くしたことに気付いた。

 中身は5$くらいだったので、それは致し方ないにしても、この小銭入れは人からプレゼントされたものだったので、かなりブルーになった。旅をして得るものも多いが、失うもの少なくない。しかし単にそれは自分が間抜けだからなのだろうか。

 明日は朝イチでボストンへ移動の為、荷物をまとめて早めの就寝につく。いよいよアメリカ西海岸に別れを告げ、一気に東海岸へ飛ぶことになる。その次は憧れの場所の1つ、ニューヨーク、マンハッタンだ。東海岸は僕を歓迎してくれるだろうか。       

 

 

 

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