旅日記42  カナダ編vol.1
「ナイアガラのしさに触れて」

 5月18日〜20日

 深夜バスを3本乗り継いで、国境のイミグレーションに着いたのは朝7時を少し過ぎた頃だった。

 イミグレを通って橋を渡ると、そこはもうカナダだ。手続きはあっという間だった。

 前日ボストン美術館で1日過ごした後、夜8時のバスに乗り、深夜0時,3時、6時過ぎに乗り変えてやっとここまでたどり着いた。

 乗り過ごしてはいけないと、殆ど眠らなかったせいか、かなり疲れる移動となった。とりあえず早く横になって休みたい。

 しかしバスを降りると、ものすごい寒さに襲われた。体感でおそらく0度近いと思う。息が凍りつくように白い。

 カナダのお金をまったく持っていなかったので,10時近くまでバスセンターで時間を潰し、カナダドルに両替をする。

 ユースにチェックインした後、夕方までとりあえず眠ることにする。

 4時頃起きて市バスに乗った。バス代は1.8$、約140円程だったが、5$札しか持っておらず、お釣りをもらおうとするがでないという。

 しかたなく降りようとするが、お金はいらないとタダで乗せてくれた。

 滝周辺で降りようとしたが、タイミングを逃してしまい、気づくとバスは郊外へと進んでいるようだ。しばらくするとスーパーマーケットがあったので、そこで降りることにした。近くの銀行でお金をおろし、そのまま買い物をして再びバスでユースに戻る。

 VIAの駅でトロント〜ニューヨークのディスカウントチケットが、1週間前購入の日付変更不可だったが、40%OFFであったのでそれを購入した。87カナダドル、約6500円。

 この日は夕食を作って終わりにするつもりでいたが、宿でフリーペーパーを読んでいると、今晩ナイアガラで花火があるらしく、また天気もよかったので夜間ライトアップされているという滝まで行ってみることにした。

 バス停で市バスを待つがなかなかこない。一緒に待っていたカナダ人の女の子が、この時間はあまりバスがないのよねえとこぼしていた。時計を見るともうすぐ8時だ。30分程してバスはきたが、乗るときになってまた小銭がないことに気づく。どうしようと困っていると、先程の女の子が代わりにお金を出してくれた。

 15分程乗って滝周辺でおろしてもらう。彼女はタウンの実家に戻るらしくここでお礼を言って、手を振ってわかれた。交わした言葉は多くなかったが、それでもアメリカとは明らかに違う、カナダの温かさみたいなものを感じた。 もっとも偶然、親切な人にあっただけかもしれないが、それでも街の雰囲気もアメリカに比べて、穏やかな感じがする。

 少し歩いてアメリカ滝の前までくる。感想は、ああナイアガラねといった程度。もともとナイアガラにはあまり期待していなかったこともあって、こんなものだろうと思っていたのだが、しかしカナダ滝に来てそれは大きな誤りであったことを思い知らされた。すごい、すごいじゃないか。

 カナダ滝は馬蹄形をしていて、対面に滝の端があり、そしてすぐ目の前にも滝が流れ落ちている。しかも川から滝になるぎりぎりのところが、手をのばせば届きそうな距離で見られるので、そこから見下ろす滝壷は圧巻だった。

 水飛沫がすごく、みんなカッパを来ていた。僕も防寒用にとカッパをコートがわりに着ていたのだが、思わぬところで役にたつ。

 そして夜10時になって花火がはじまった。打ち上げはアメリカ滝のすぐ前で行われていたので、そこまで行ってみる。

 すると真横から花火があがり、上ではなく殆ど目の高さで花火があがり、その迫力で圧倒された。まさかここまで来てこんな花火が見れるとは思わなかった。

 それと花火に驚いてか、カナダ滝の周りには無数の水鳥達がまいあがっており、それが白くライトアップされた滝に舞う紙ふぶきのようで美しかった。

 翌日昼食にユースのキッチンでカレーを作っていると、日本人の女の子が声をかけてきた。彼女の名前はワカコさん。アメリカとカナダを2カ月程旅しているとのこと。

 午後からナイアガラオンザレイクのワイナリーに行くというので、ご一緒させてもらった。  ナイアガラの滝からバスで30分、オンタリオ湖畔の小さな町だが、ここは世界でも有名なワインの産地でもある。

 特に糖度24度というアイスワインが有名で、普通秋に収穫するはずのぶどうが、寒さで霜と雪で凍り付き,木に釣るしたままさらして、冬に収穫するワインだという。

 ナイアガラオンザレイクを見た後、そのワイナリーまでワカコさんと一緒に歩く。1時間程歩いてやっとそれが見えてきた。そこでテイスティングをさせてもらうが、比較的このワインは若いまま飲むせいか、フルーティーなものが多いようだ。

 最後にアイスワインを飲むと、口の中でマスカットが鮮烈に弾け散った。そして純度の高い甘さが口の中いっぱいに広がる。

 ワインというよりマスカットジュースという方が、それに近い気がしたが確かにこれはちょっともしこのまま帰国するなら、買ってもって帰りたい気がした。

 また1時間歩いてバス停でバスにのり、ナイアガラフォールズに帰ってくると、昼の残りのカレーを食べて洗濯をした。しばらくするとワカコさんがリブレットを出してきた。 使わせてくれるというので日記を書いて送る。思いがけず日本語環境を得ることができた。

 明日は列車で次なる町、トロントに移動だ。

 

 

 

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