旅日記54  アルゼンチン編 Vol.1
「華麗なるンゴの都」

6月26日〜30日

ビーニャデルマルからバスを乗り継ぎ、サンチャゴの空港へ。そこからブリティッシュエアウェイズの飛行機で、アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスに着いたのは、夜の7時過ぎだった。

ペルーから戻った21日に、サンチャゴのアメリカン航空で、次の目的地、ロンドンに飛ぶフライトを7月3日に予約してあったのだが、もし可能ならもう少し早められないかと思い、空港のブリティッシュエアウェイズのカウンターに行く。しかしやはり29日のフライトは満席とのことだった。じゃあ7月3日のままでいいですと言うと、ちょっと待ってください確認しますからと言われ、そのまま待たされる。そして、あれ?予約入っていませんよなどと言われる。

そんなはずはないです、21日に予約入れてあるし、リコンファームだってまだ1週間も前じゃないですかと言うが、入ってないものは仕方ないという。じゃあ3日に入れてくれというと、これもまたフール、その次はと聞くと、今夏休みのピークシーズンなので、その次もその次もずっとフール。ひたすら当日に空港に来て、キャンセル待ちしかないですねとほざく。

そんなバカな話はあるか、ちゃんと予約を入れたのに、なんで知らないうちに消えてるんだというと、じゃあ予約番号をおっしゃってくださいという。空港のカウンターで予約して、次のフライトの日時をチケットに書かれただけで、そんなものは聞いてないというと、じゃあ駄目ですね、予約番号がないと言う。そんなもの今まで何十回と飛行機を使っているが、1度も聞いたことがない、予約を入れたのは、このチケットを見れば一目瞭然だろ!なんとか次の予約を入れてくれと言うと、また何やらカタカタ入力した後に、では次は10日のフライトですとチケットにフライトの日時と、その予約番号とやらを書かれた。さっきは無いと言ったのに、あるじゃないかとブツブツ文句をいいながらそこを後にし、バスに乗ってセントロの5月広場まできた。バス代は高くて10$。

どうも腹の虫がおさまらず、また2週間もアルゼンチンでどうしようかとバスの中で考える。そういえば、、、と思い出したのが、ロンドン行きのフライトは何もブエノスアイレスからでなくたってサンパウロからのフライトがあったはず、これはひょっとしたらブラジルが自分を呼んでいるのではと考えなおしてみた。そうだ、きっとそうだと根拠の無い確信をする。しかしそう思うとたっていた腹も、すうっと消えてどこかへ行ってしまった。

この旅は風まかせと決めたのだから、風がブラジルに向かってふいているならとブラジル行きを決意する。

 

夜のセントロの街を歩いていると、まるでヨーロッパにいるかのようだ。サンチャゴも都会だったが、ブエノスアイレスはさらに大都会で、しかも古き良きヨーロッパといった趣がある。

15分ほど歩いて、サンテルモ地区のビクトリアホテルという安宿にチェックインする。トイレとシャワーは共同だが、シングルルームが12$、ユースのドミトリーが汚くて自炊ができないらしく、そこでも10$というから、この値段は悪くない。

またアルゼンチンの通貨はペソだが、以前あまりのインフレに、打開策として今は1US$=1アルゼンチンペソのレート固定の政策がとられており、ここではUSドルが自国通貨なみに使えるらしい。ありがたい。

 

翌日、午前中にブラジル領事館へ行く。結構待たされたが、申請用紙に必要事項を記入し、持っていた写真1枚と、60ペソを渡すと2日後にできるから取りにこいと言われた。他の南米諸国でビザをとるときには、イエローカードが必要だったり、他にもいろいろ面倒な手続きがあるとかで、それに比べれば簡単だが、3ヶ月の観光ビザが60$というのはあまりに高い

昼間街をぶらついて、夕方宿に戻ると、同じ宿に泊まっている日本人がレセプション前に集まっていたので、そこのソファーに腰掛け、しばし話込む。

僕が歌いながら旅をしていることを話すと、ぜひ歌ってほしいと言われたので、ギターを部屋に取りに戻って1曲歌う。

最初、レセプションの前ということで、宿のおじさんに静かなやつを1曲だけと言われていたのだが、歌い終わると、宿のおじさんもおばさんも皆でてきて、あんた上手いねえ、まあ飲みねえと、皆に酒やらジュースを振る舞ってくれた。

この日本人の中には、以前この宿に長期滞在していて、今は郊外に住んでみえる右田さんという方もいて、ぜひこの続きは家へ来てやってくださいと招待される。どうしようか迷ったが、他の日本の人達も一緒に行くというので、じゃあ明後日と承諾する。

 

さらに翌日、宿の日本人で近くの中華レストランにランチを食べに行く。ビュッフェ形式の食べ放題で4$。味もまあまあで、お腹いっぱいになった。

その後、昨日偶然入ったラバージェ通りのインターネットカフェが、日本語入力できたので日記をタイプする。ここは1時間2$で、3時間程過ごした。

 

4日目、朝1でブラジル領事館へビザを取りに行く。それから皆で地下鉄と電車を乗り継いで2時間、郊外の右田さん宅へおじゃました。右田さんは盆栽を育てて売る商売をされているとかで、広い庭には沢山の鉢植えの盆栽があった。今日はこの庭でバーベキューパーティとのこと。

アサードという、アルゼンチン名物の骨付き牛リブ肉を、炭火でじっくりとあぶる。それとすごく太い、豚の腸詰めチョリソーをパンにはさんだチョリパン、そしてセルベッサ(ビール)。もう美味すぎて、美味すぎて最高に幸せだ。

先日の約束通り、ギター片手に何曲か歌う。右田さんもすっかり機嫌を良くされたのか、クラッシックギターを持ってきて、懐かしのフォークソングの歌本を取り出し、一緒に何曲か歌う。

また最近キーボードを買ったとのことで見せてもらう。カシオのキーボードで、これでエリーゼの為にを弾くのが夢だとか。子供時代にやったことがあるので、弾いてあげようと思うが、楽譜がないとのこと。楽譜と、サスティーンペダル(踏むと音が響いて残るペダル)を購入されてはと進言する。

せっくだから何か弾いてくれと言われたので、先ほどの右田さんのフォーク本で、右田さんのギターと歌に、キーボードで適当にコードとリズムの伴奏をつけ、即席セッションをした。

右田さんにも満足してもらえ、僕もめちゃ美味の肉やら、酒やらをたらふく振る舞ってもらえ大満足。この日は結局、夜の11時頃までお邪魔し、夕食には残った炭火で、梅干し入りの焼きおにぎりまでいただいて帰った。

宿に着いたのは、深夜12時頃。それから一緒だった同じ宿の景山君と、近くのバーにW杯予選のアルゼンチン対コロンビア戦を見に行く。結果は3対1でアルゼンチンの勝利。帰って寝たのは2時過ぎだった。

 

そして5日目の金曜日、この日は午前中にサンマルティン広場近くのアメリカン航空に、ルート変更の手続きに行く。幸い係りの人が英語ができたので、1時間半程かかったが、無事変更をすませることができた。変更手数料75$。サンパウロ、ブエノスアイレス間のバスが100$近いのでこちらの方が、断然楽で安上がりだ。

それからブリティッシュエアウェイズのオフィスで次のフライトの予約をいれる。こちらも9日の夜とかで1日早くヨーロッパ入りできるようになった。やはり風はブラジルの方へ向かってふいているらしい。

その後、レティーロのバスターミナルで明日のバスの時刻と料金を確認に行く。イグアスへの深夜バスが、1番安いので37$、しかしパラグアイのアスンシオンだと30$からあるという。

アスンシオンからイグアスへは10$位らしいので、ほとんど変わらない値段でパラグアイに寄れる計算だ。

本当は今日チケットを買ってしまおうかとも考えていたが、結論は明日へ持ち越すことにした。1日じっくり考えよう。

いつものインターネットカフェに寄って帰ると、1Fのカメラ屋で29$というフラッシュ付き全自動カメラがあった。アルゼンチンはカメラが高く、使い捨てでも14ー22$くらいするので、これはかなりの破格だ。

ディスカウントできないか聞くが、これで十分安いよと言われ、結局29$で購入。中国製だがちゃんと写れば問題ない。

夜になって同じ宿の景山君と、アルゼンチンリーグの試合をスタジアムへ観に行く。

彼はアルゼンチンに、サッカーを見るためだけに半年も居続ける程のサッカー好きで、同じくサッカー大好き人間の僕としては、熱い話ができるので会話もはずむ。

この日は現在、リバープレートと首位争いをしているインデペンデンテのホームゲームだった。

ここのスタジアムは古くて傾斜が少ないのと、アルゼンチンの中でもボカジュニアースと並んで、サポーターのタチが悪いことで知られるチームなので、少し良い席で観るつもりだった。

しかしお目当てのメーンスタンドの席は40$で、僕達には高すぎて手がでない。しかたなく次に高い20$の席を購入する。だが何の手違いか、僕達が入ってしまったのは一番高い40$の席。事実上自由席で、中に入ってしまえばチェックもないので、そのまま最高の場所で観戦。ラッキーだ。

この試合は、格下相手のホームゲームだったので、大方の予想は圧倒的インデ有利。これにあやかって、迷っていた行く先を、インデの勝利でイグアスへ、引き分けで日曜日のリーベル戦を見てイグアスへ、負けたらパラグアイへと託すことにする。

ゲームが始まり相手に先制を許すが、前半終了間際に同点に追いつき、そのまま折り返す。僕的にこのゲームは、今スペインのレアルマドリードからレンタルされている、アルゼンチン人の期待のボランチ(守備的MF)カンビアッソが目的だった。彼自身は時折、好プレーをみせていたが、この日はインデ全体に雑なプレーが多く、彼もなかなか周りとかみ合わない。特にFWの選手のミスが目に付く。逆に相手の20番のFWの選手の動きがいい。日本にも大きくて、強くて、速いFWが欲しいなとうらやましく見てしまう。

後半インデが2対1と勝ち越すが、フリーキックからのセットプレーから同点に追いつかれ、さらには逆転を許してしまう。これまたスペインへの移籍が決まっているインデの正GK、コロンビア代表モンドラゴンも、どうも落ちつきがない。

この後、インデは交代で攻撃の選手を増やし、果敢に相手ゴールを脅かすが、2対3のまま試合終了。ほとんどインデ自滅の形での敗戦。リーグも残るはあと4、5節。これでは優勝は難しい。

帰りは熱いインデサポータも、心なしか元気がなかった。そして次の行く先は、、、、パラグアイのアスンシオンに決定!

でもこれでいいのか、、、、、ああ俺っていったい。

 

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