旅日記57 ブラジル編Vol.1
「ブラジルとえば、、、」


7月5日〜6日

長距離バスでサンパウロのバスターミナルに着いたのは、フォスドイグアスを出発してから約16時間半後の朝10時半だった。途中、夜中の4時半頃に検問があり、僕達のバスにも警察が乗り込んできた。パスポートも念入りにチェックされ、荷物も全部ぶちまかれる。大きい方のバックパックを開けた時、中に白い粉が散乱しており、これは何だ!と厳しい口調で問いただされる。

何だろうと思って触ってみると、、、塩だ。空になったプラスチックケースを見せ、事なきを得たがほとんど新品の塩が、全部バックの肥やしと消える。ジャリジャリと幾らはらっても、バックの底にまとわりつく塩を手にため息をつく。トホホ。

バスターミナルに隣接している、地下鉄チエテ駅から、電車で走ること10分行った日本人宿、ペンソン荒木にチェックインする。ここはドミトリー1泊12リアル、約700円。

中に入ると、入り口近くのソファーに、旅行者らしき日本人がたまっていたので話してみる。すると中に今夜、サッカーのコパブラジルというカップ戦の、決勝戦を見に行く人がいたので、一緒につれていってもらうことにした。やはりブラジルと言えばサッカー、これはぜひ行かねばと、早くも部屋で一人、アドレナリン出まくりで大興奮する。

夜になって皆でサッカーを観にいく。同じ宿の人の知り合いで、サンパウロ在住の日本人が、車を持っているというので、それでブラジルでも屈指のスタジアム、ムルンビーへと向かう。しかしさすが一大イベントなのか、道には同じくスタジアムへ向かう人、人、人が溢れており、大渋滞だ。僕達もその渋滞に1時間程巻き込まれ、スタジアムに到着したのは、試合開始直前の9時半過ぎだった。

この日のカードはサンパウロ対グアラニ、僕達はホームのサンパウロ側のスタンドへ急ぐ。チケット代が25リアル、約1500円。

ゲームは予想通り、攻めるホームのサンパウロ、守るアウェー、グアラニの形で進む。サイド攻撃を中心にサンパウロが果敢に攻めるが、中央を長身のディフェンダーでがっちり固め、また中盤のチェックの早いグアラニ守備陣をなかなか崩せない。ゲームは0対0のまま前半終了。スコアは動かないものの、それでもサンパウロがチャンスになると、スタジアムは割れんばかりの、地響きのような唸り声をあげる。この日の観客は約7万人で、そのほとんどがサンパウロのサポータなのだから、敵チームのグアラニに対するブーイングも半端じゃない。

後半も同じような形でゲームは進む。しかしサイド攻撃に固執するサンパウロは、リズムが単調でどうしても相手守備陣を崩せない。縦パス1本のカウンターから早い攻撃と行きたいが、前線で基点になる選手がいないため、結局またサイドチェンジの繰り返しになり、その間にまた守りを固められてしまう。本来なら攻撃の中心選手のベテラン10番、ライーもこの日はさっぱりの出来で、足も殆ど止まったままだ。

スコアはとうとう最後まで動かないまま、0対0でゲーム終了。結果は第2戦の日曜日のアウェーゲームに持ち込まれることに。少し不完全燃焼ぎみの試合だったが、それでもサッカー王国ブラジルでゲームが見れたことに大満足。

帰りも行き同様、車で宿まで送ってもらい、帰ったのは深夜1時過ぎ。昨夜の移動で疲れていたのでそのまま就寝。

翌日は町のネットカフェに行く。ここでも日本語が打てたので、2時間程溜まった日記をタイピングする。1時間6リアル、約350円。

その後町をぶらついていると、道端でスニーカーを売っているおばちゃんがいたので、いくらか聞いてみる。するとナイキのシューズが30リアル、1800円という。本当はアディダスのシューズが欲しかったのだが、とりあえず値切ってみると27リアルまで下がった。25リアルなら今買うよというが、ばかにするな、あっちいけといった仕草をする。とりあえず相場を見てみようと、ほかの店も何件かあたってみることに。するとやはり良いものは、日本と同じか少し安いくらいで、ちゃんとした輸入品はそれなりの値段になってしまうようだ。今の僕に5000円を越える靴など買えるはずもなく、そのまま先程のおばちゃんの所へ戻ることにした。

しかしいくらねばって交渉しても、頑として27のラインを譲らない。試しにはかせてもらうと、少しキツイがなんとかはけないこともないといった具合。サイズ表記を見てみると、24,5インチとなっている。僕のサイズは25インチなので、少し微妙だ。どうしよう。

夕方6時近くなり、あたりも暗くなってきたので、今日はとりあえずあきらめて、明日また出直おそうと帰りかけると、おばちゃんは、わかったもってけドロボーと、ドンと僕の前に靴をほうり投げる。本当に25リアルでいいのかと聞きなおすと、今度は首を縦に振った。25リアル、約1500円で中国製、たぶんバッタモン?ナイキシューズをゲット!これでやっと、あの殺人的な悪臭をはなつ靴から開放される。しかしこれでサンパウロですることもなくなってしまった。

宿に戻ると、昨日一緒にサッカーを見に行った見原君がいた。靴も買ったし、明日リオに行ってみようかなと話すと、彼も一緒に行きたいというので、急遽、翌朝のリオデジャネイロ行きが決定。とりあえず1泊で帰ってこようということになったので、洗濯物を干していこうと、洗面所で石鹸片手にごしごし溜まった汚れ物を洗う。

明日早いのでと、いつもよりも早くベットに潜り込む。脇にはおニューのバッタモンナイキシューズが置かれ、そして殺人的な悪臭を放つアディダスは、遠くクズかごでほのかな香りを放ち続けている。そして僕はそっと呟く。アディダス君、いままでどうもありがとう、君のことは一生忘れないよと、、、、、なんちゃって。

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