旅日記62 オランダ編
「中央での一夜」

7月15日

 朝7時52分発の列車で、ドイツのハンブルグへ向かう。ハンブルクとオスナブルックで乗り換えをし、オランダのアムステルダムに着いたのは夕方の6時頃。

荷物を持って地下鉄に乗り、ニューマルクト広場近くのユースホステルに行くが、フルだと言われる。その後も紹介されたユースを5、6件あたってみるが、どこも一杯。この際思い切ってと、安めのシングルを20件近くあたってみるが、どこも返ってくる答えは同じだ。時計を見るとすでに夜9時を過ぎている。

さすがに疲れ果 て、もう煮るなり焼くなりすきにしてくれと自虐的な気持ちにな る。とりあえず朝から何も食べていないことに気付き、食事を取ることにした。

もう地下鉄、トラム、徒歩とかなりの移動をしていたので、まずは気分転換にと、すぐ近くにあったインターネットカフェに入る。数件友人に泣き言メールを入れた後、すこし元気になったので向かいのカバブ屋(羊肉のあぶったやつ)で夕食を取り、アムステルダムの中央駅に向かった。もう電車も終わる時間なので、今晩はここで野宿だ。

駅から入ってすぐの所に荷物を下ろししゃがむ。他にすることもなかったので、おもむろにギターを取り出し歌いはじめる。

しばらくすると、自転車に乗った地元のおっちゃんがやってきて、なかなかいいじゃないかと空き缶も用意していないのに、小銭をばらまかれた。またここだと人通 り から離れているから、もっとドアの近くでやりな、きっともうかるからとアドバイスして帰っていった。でも疲れていた僕は、一応ありがとうと答えたものの、気力もなくなったので、次の曲で終了。

 夜も1時を過ぎると、完全に人通りがなくなる。僕と同じように宿が取れず、翌朝の列車待ちをしている白人が3人、おそらく単なるホームレスだろう黒人が2人、そして僕を入れた6人がただ広い駅構内で横になっている。

寝むれないので、ノートを取り出し詞を書くことにした。以前曲だけ書いたものがあり、それを完成させようと思ったからだ。

 この曲は自分なりに結構気に入っていたのだが、いざ歌詞をつけようと思うとなかなか気持ちがのらなかった。しかしこの日は面白いようにペンが進む。

そして曲ができあがって時計を見ると、すでに早朝4時を回っていた。さすがに疲れたので、目を閉じて横になる。

何やらガサゴソ音がするので、はっと飛び起きると、誰かがギターを持ってゆこうとしている。キッと睨みつけると、こんな所に寝ていたらあぶないよと、その男は呟き去っていった。

 あたりを見回すと、さっきまで眠っていたやつらの姿はどこにもなく、すでに早朝の電車に乗ろうとする人達が、流れるように行き交っていた。さっきのは駅員だったのだろうか。

 時計を見ると朝の6時前。このまま少し待って宿をさがそうか迷ったが、昨夜何件も回って冷たくあしらわれたこともあり、もうこの町はいいやという気分になってしまったので、そのまま移動することに。

 両替屋の前までくると、朝7時オープンとあったので、それを待って7時40分の電車でベルギーに向かうことにした。

ああ、、、疲れた。早くぐっすり眠りたい。

 

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