旅日記64 フランス編
「凱旋にささぐ」

7月19日

朝9時にパリ北駅に着くと、地下鉄の1日券約1200円を買って、レピュブリック駅近くのユースホステルへ向かう。しかし朝9時台というのに、今日は満室とのこと。他のユースを予約できないかと聞いてみたが、パリのユースは今日は全部フルだと言われ、しかたなくそのままとぼとぼと地下鉄駅へ戻ってきた。

高いホテルを探すことも考えたが、パリは6年前に1度来ているので、この街は1日だけにして今晩中に移動することを決めた。

カンボジアで会ったグラさんと、22日にフランクフルトで会う約束をしているので、一泊だけでバルセロナへ向かうか、このまっまフランクフルトへ行くか迷ったが、まずは電車があるかどうか聞こうと、アウスターリッツ駅でバルセロナ行きの寝台を確認する。

しかし席はあるが、フランス区間のみの予約しかできない、スペイン区間はスペインでリザーブしてくれと言われる。

ダイレクト便の寝台なのに、そんなことができるのかと確認するが、駅の係員もフランス語しか話せなく、なかなかうまくコミュニケーションがとれない。

じゃあフランクフルトは?と聞くと、予約なしで乗れるというので、そのまま行き先をフランクフルトにして、再度地下鉄に乗る。

ドイツへはパリの東駅から電車が出るらしいので、いったんそこまで行き、コインロッカーに荷物を預ける。これが20フラン、約340円。

地下鉄を乗り継いでやってきたのは、コンコルド広場。ここからシャンデリゼ通りをまっすぐ歩いて凱旋門へとやってきた。そしてお約束のギターを取り出し歌い始める。

パリは夏休みということもあってか、さすがに日本人観光客が多い。向こうも僕が日本人だと分かると、遠巻きながらも興味深そうに、はにかみ笑いをしながらこちらを見ている。しかもパリに来ている日本人観光客が、そろって同じ表情をするのが可笑しかった。

シャンデリゼは前回も歩いたのだが、こうしてベンチに腰掛け通行人に向かって歌っていると、いつもより少しだけ低いところから、上を見上げて物事を感じられるのがいい。

高いところに登って下を見下ろすのも、気持ち良いかもしれないが、僕には低い所からの景色の方が楽しいかもしれないと思う。

しかしシャンデリゼは車の交通量が多く、騒音に歌声がかき消され、自分のほんのわずかな周りしか声が届かないようだ。これではあまりにも効率が悪い。静かなバラードなんか歌えたもんじゃない。

早めに切り上げようかと思っていると、すぐ横のベンチに座っていた白人の女の子3人組が、僕にU2は歌える?と声をかけてきた。僕はもちろんと答え、「Withorwithoutyou」を歌い出す。

歌い終えると、彼女達はすごく良かったとうれしそうだった。話してみると彼女達はドイツから来ているらしく、僕も今日フランクフルトへこの後向かうんだと言うと、世界中を回ってるの?いいねあちこち行けて。頑張ってねと去っていった。

僕もギターをしまって地下鉄駅へと向かう。

途中お腹がすいたので、フランスパンにトマトなどの野菜と、モツァレラチーズをはさんだサンドウィッチを食べた。なかなか美味い。しかしパリは物価が高く、これとコーラで36フラン、約600円。

夕方5時台の国際列車でドイツへ向かう。フランクフルトへ着いたのは、夜11時半過ぎ。この時間に僕の予算で泊まれる宿などないので、今日はこのまま駅で寝ることにする。

駅のマクドナルドでかなり遅い夕食をとっていると、日本の京都にすんでいるというハンガリー人の女の子が声をかけてきた。彼女は日本語が少し話せたので、彼女はつたない日本語で、僕も片言の英語で会話する。

話題が旅のルートのことになり、ヨーロッパの旅順を説明していると、一都市ごとに、彼女がわあすごい、本当?と相づちをうつのが可笑しかった。英語でGood!とかFineと相づちを打つのは違和感がないのになと、興味深く思う。

しばらくして、彼女のフランクフルト在住の彼氏が迎えにきたので別れる。去り際に彼女がこれ食べてと、プラスチックの容器に入ったお菓子をくれた。パリで買った甘いお米のお菓子という彼女の言葉とおり、カスタードの中にライスの粒が入っている。なかなか変わっていて面白い味だった。

時計を見ると深夜1時。駅の待合室のベンチに横になって就寝。夏というのに、フランクフルトの夜は寒く、冬着を重ね着して寝る。それでも寒く、何度もくしゃみを連発し鼻水が止まらない。

アルゼンチンのホテルでもらって持ち歩いている、トイレットペーパーが大活躍。ああ、、、暖かいベットで眠りたい。

 

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