旅日記68 スイス編
 「アルプスのめ」

 8月3日

 前日、フランクフルトから列車を乗り継いで、スイスのアルプスにある小さな町、サンモリッツに着いたのは夜9時だった

とりあえずユースに行ってみたが、フルだと言われる。野宿も考えたが、ここは標高も高く、夜は冷えるので、しかたなく駅近くのホテルのシングルルームに泊まる

1泊朝食つきで60スイスフラン、約4000円。僕には高すぎたので、カードで支払う。さすがスイス、物価は日本並み。朝からほとんど何も食べていなかったが、この日はもちろん夕食も抜き。ああ、腹が減った

朝目覚めると、ホテルの部屋の窓から朝日に照らされた、サンモリッツ湖がとてもキレイだった。9時半サンモリッツ発のベルニナ急行で、イタリアのティラーノに向かう

ベルニナ急行はヨーロッパでも屈指の、車窓の眺めが美しいと言われている列車で、幸い僕は、ユーレイルパスを持っていたので、無料で乗ることができた

列車で合い席となったスイス人のおじいさんと、互いにカタコトの英語で会話しながら、思い思いに景色の感想を述べたりして、ひとときを過ごす

しばらく行くとベルニナ急行で最も標高が高いという、OspizioBerninaへ着く。するとこのおじいさんは、ここは1番高いんだぞと子供のようにはしゃいで連呼する

そしてベルニナのハイライトともいうべき、Alpgrumに着く。広がる緑に青い湖といった美しい大自然の中に、真っ白に染まった氷河の山々が、雄大にそびえ立つ。できればここで途中下車し、しばらくながめていたかったが、今日中にミラノまで行かなくてはならないため、泣く泣く車窓にへばりつくようにして、その絶景と呼ぶにふさわしい景色を眺めていた

 お昼頃ティラーノに到着。次の電車まで1時間程あったので、銀行で両替をし、1日ぶりにちゃんとした食事にありつく

ティラーノの駅で国境のため、スイス側からイタリア側に行くとき、パスポートに汽車の絵のスタンプを押される

でもどうみても、イミグレーションというよりは、ローカル鉄道のスタンプラリーといった感じ。昼食はアツアツのピッツアとコーラで12000イタリアリラ、約650円

3時半にミラノに着き、地下鉄でユースに向かう。ここは午後5時チェックインなどで、ちょど良い頃に着き、空室もあった。1泊26000リラ、約1400円

 部屋に荷物を置いて、地下鉄で街へ向かう。やって来たのはドゥオーモ広場。しかし着くなり雨が振り出し、傘の無い僕は動けずじまい。でもさすがにミラノ名物といわれるだけあって、なかなか立派なモノだ

雨がやみ、広場近くのインフォメーションで、楽器屋の場所を聞き、街をぶらつきながら探す

少し迷ったが、なんとかそこまで着くことができた。代えの弦がもうなくなって困っていたが、ここは日本並の値段。他の国でも探したが、税金のせいか、趣向品扱いになるためかはわからないが、どれも日本よりも高かったので、ここでまとめ買いすることに。セット弦を2セットと、バラ弦を1〜4弦までを2本ずつ。そしてピックを4枚で42000リラ、約2300円。うーん高い

店を出るとまた雨が振り出したので、地下鉄でユースに戻る。すると入り口付近に日本人がたむろしていたので、会話に加わる

中に尺八を吹きながら、ヨーロッパ中を旅している大学生がいたので、セッション?しようとお互い楽器を持ち寄り演奏する。しかしすぐに宿のおじさんに、うるさい!やめろと怒られる。ちぇっ、ケチ

その後、カナダ人やブラジル人も加わって、話が盛り上がる。ブラジル人青年のアレックスが、僕のギターを見て聞かせてくれと言われるが、さっきおやじに怒られたばかりなんだと言うと、ここはアウシュビッツだからと苦い顔をしていた。僕もそう思うと言って笑う

この日はこのまま夜10時に就寝。明日は朝から移動だ。

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