旅日記76 エジプト編Vol.1
 「ライヴ イン ラミッド!?」

 8月17日ー19日

 早朝、ギリシャのアテネから、ブリティッシュエアウェイズの飛行機でロンドンへ。そして夕方の便で、カイロの国際空港に着いたのは、深夜0時を少し過ぎた頃だった

空港のイミグレーション前の銀行で、両替と切手みたいなエジプトビザのシートを15US$で買って、パスポートにぺたっと貼る。あとはイミグレーションの入国スタンプをもらえばこれでOK

空港では、しつこい程タクシー、タクシーと声をかけられたが、どうせボラれるに決まっていると、朝まで待つ覚悟でバス停を探すが、しかし駐車場のような所にでてきてしまい、人づてに教わった場所は、レンタカー屋の前。バス停の標識すらない

本当にここでいいのか、何度も聞いていると、どこに行きたいんだと警察官に聞かれ、自分が今日泊まる予定の宿のアドレスをみせる。するとそのあたりに行く奴がいるから一緒にいきなと、タクシーを進められた

 いやタクシーは高いからいらないと言うが、始発までまだ5時間もあるし、2人なら1人あたり10エジプトポンド(300円)で行けるからと言われ、本当に10ポンドならと、ポリスの進めるタクシーに乗った

同じ宿に行くというのは、エクアドル人の青年で、彼は僕が行く予定の日本人宿、サファリホテルと同じ建物内の、スルタンという宿に行くとのこと。彼はスペイン語しか話せないらしく、かなり心細げに見えた

30分程して宿の近くでタクシーは止まり、僕達は別れを告げそれぞれの宿へ入っていった。彼は2階、僕は5階まで階段を上る。建物のまわりも、かなりイスラムの下町色が強く、フルーツなどを売る店がぎっしり並んでおり、所得層もかなり低いようで、生活臭がぷんぷんしている。しかしこのビルもそれに負けず劣らずかなりボロく汚い。しかもエレベーターは半永久的に故障しており、5階に着いた時には、ぜえぜえと息が切れするハメになった

宿に飛び込むと、夜の2時前というのにチェックインさせてくれ、そのまま朝までベットで眠ることができた。ドミトリー1泊、6ポンド、約180円

 朝起きてまず、駅へ切符を買いに行く。翌朝の夜行でルクソールへ行こうと思ったからだ。しか駅員のおざなりな対応にぶち切れる。10分程並んで、やっと僕の番が来たと思ったのに、僕の番になったら急にお札を数え始めたのだ。最初は少し待っていようと思ったのだが、5分待っても終わらず、いつになったら切符を買えるのか聞いても、まってろと言ったっきりまた札を数えだす

結局30分近くそのまま待たされ、やっと何だと聞いてきたので、ルクソール行きの切符が欲しいと言うと、いつのだというので、できれば明日の夜行、なければできるだけ早いやつで頼むというと、明日はない、明後日なら80ポンドだと言う。宿で、3−40ポンドと聞いていたので、他に安い席はないのかと聞くと、だんまりを決め込んで、また札を数えはじめる

エクスキューズミーと何度言っても、完全無視。しばらくそこで待ったが、永遠に金を数え続けるので、ファッキン!と捨て台詞をはいて飛び出してきた。すると自分がそこから離れたとたん、また他の客の対応をはじめたではないか。馬鹿にするにも程がある

他にももう1つ空いている窓口があったので、ここで駄目ならもうルクソールなんか行かねえやと、少しならんで先程と同じことを話すと、明後日の朝便があるという。一番安いやつは?と聞くと、31ポンド、930円と言うので、それを発券してもらった。さっきの80ポンドって、3倍近い値段じゃないか、まったく。エジプトでは平気で駅員がボるらしい

地下鉄に乗ってタハリール広場へ行き、町をぶらついて宿へ戻る。地下鉄代0.5ポンド、15円

宿へ戻って、少し体調が悪かったので昼寝をした後、夕食を食べようと外に出ようとした時、1つ重大なことに気づく。僕は日本人宿サファリホテルに「泊まったつもり」だったが、入り口にはスルタンホテルと書かれている。そしてすぐ隣にサファリホテルという別 のドアがあり、そこから日本人が沢山出入りしていた。そういえば自分の宿にはほとんど日本人がおらず、西洋人ばかり。なんとスルタンホテルは2階から5階までスルタン2、スルタン3といった具合に続いていたらしい

サファリホテルの中に入って、宿泊している日本人と話をすると、ここは今日本人しか泊めないとのこと

しばらくそこにいた人達と話して、明日こっちに移ってきますと、サファリホテルを出て町へくり出す

何か食べようと店を出て探していると、1件コシャリ屋があったので、そこでコシャリとコーラを頼んだ

コシャリというのはエジプトの大衆食で、マカロニとスパゲティ、ライスに煮込んだ豆などをまぶして、どろっとしたトマトソースをかけたもの。けして美味いものではなかったが、安くてボリュームがある。これが1.5ポンド、45円。コーラが1.25ポンド、38円

この日は町でインターネットカフェ(1時間10ポンド、300円)に行き、宿で日本の本を読んで就寝

翌朝、サファリホテルに移ろうと部屋の空きを聞くが、今日はチェックアウトする人がいないらしく一杯で、スルタンもスタッフが親切だったこともあり、ならばと延泊し、同じくサファリホテルがいっぱいで、スルタンにと流れてきた日本人4人と、一緒にギザの3大ピラミッドを見に行くことにした

タハリール広場まで歩いて、バスに乗りギザへ。バスターミナルを探すのに少してこずったが、なんとかギザ行きのバスを見つけて、乗り込むことができた。片道0.25ポンド、約7.5円

30分程してギザへと到着する。するとすぐ現地の奴達が色々しつこく声をかけてきたが、ここはかなりボラれることで有名なので、相手にせず、さっさと歩いてピラミッドを目指す。ピラミッドに入る時、他の皆は国際学生証を持っていたので、10ポンド(300円)に。僕は持っていないので、20ポンドのはずだったが、ダメもとと中の1人が僕に学生証を貸してくれたので、ためしてみると僕まで10ポンドで入ることができた

学生証には顔写真がついており、あきらかに別人と分かるはずだが、どうやら日本人の顔の区別 ができないらしい

参道を通って先に進むと、スフィンクスの前へと出てきた。そして後ろにはクフ王、カフラー王、メンカウラー王の三大ピラミッドがそびえ立っている

スフィンクスは思った程大きさもなく、ちょっと期待はずれだったので、今来た参道を引き返し、別 のルートを通って、クフ王のピラミッドへ向かう

 クフ王のピラミッドの崩れ落ちた破片に腰をおろし、ギターを取り出す。そしてもはやお約束となったストリート?ライブをはじめる。するとラクダに乗ったツーリストポリスがやってきたので、注意されるかなと思っていると、なんと皆じっと聞き入っている。曲が終わると、いっせいに皆拍手喝さいをし、GOOD!とか、アーリガートとカタコト日本語で言って去っていった。エジプトもラテンと同じく、音楽には寛容なのだろうか

他の日本人は、ラクダ引きと何か話しをしていたので、ここでしばらく30分程歌うことにした。曲が終る度にあちこちで拍手がおこる

エジプトにきてから客引きもしつこく、ものを買うにもほとんどといっていいほどふっかけてくるので、ちょっと閉口していたのだが、なんだエジプトも悪くないじゃんと思い直す

歌い終わると、皆でピラミッド内の玄室に入ろうというので、売り場でチケットを買うことに。そしてここでも学生証を借りて、10ポンド、300円のみで済ませることができた。しかしいざ入り口に入ろうとすると、カメラを持ち込むには別 料金がかかると言われ、いっしょにいた大学生がつかまっている。しかし彼達はそれでも中で写 真が撮りたいらしく、またチケット売り場へ走っていった。僕たちが入り口の前で待っていると、ポリスの1人が僕のギターを指差し、歌うのか?と聞いてくる。ああとこたえると、歌ってくれというので、1曲歌うと皆大はしゃぎ。しかし歌っている間に大学生が戻ってきて、他の4人はお先にと中へと入っていってしまった

もっと歌ってくれと言われたが、僕もおいてきぼりをくってはと、またねと言って、ポリスの1人にギターを預けて、クフ王のピラミッドの中へ入る

通路はそれほど広くなく、場所によっては、人とすれ違うのも難しい程だが、しばらく進むと、えーこんなにあるのーという長い階段があり、それをひた上った先に、王の玄室があった。玄室は思ったよりも広く、奥に1つ石棺がおかれている。しばらく見た後、来た道を引き返し、階段を降りたところで、他の4人と遭遇する。彼達はまだ王の玄室まで行ってないらしく、また長い階段を上るはめになる。せっかく降りたのに、また逆戻りだ

そしてピラミッドを出た頃には汗びっしょりだった

大学生の2人組みはまだここにいるというので、気温もかなり高くなってきたこともあり、残りの僕達3人は、気温もかなり高くなってきたことだし、カイロへ戻ることにする

バスに乗ると、バスでも1ポンドと言ってぼられそうになったので、他の乗客にいくらで乗ったか聞いて、正規料金分だけきっちりと払う。駅員といい、バスの車掌といい、オフィシャルな立場の人間すら、まったくといっていいほど信用できない。なかなかすごい国だ

カイロ市内へ戻ると、もう夕方だった。サファリホテルで他の日本人と一緒に話していると、今日の夜、スーフィーダンスという踊りがあるというので、皆でタクシーを1人1.5ポンドでシェアして見に行くことにする

スーフィーダンスというのは、イスラム教のとある宗派の音楽と踊りで、歌い踊ることによって、アッラーに祈りを捧げる?らしい。したがって入場も無料

会場に入ると、ものすごい数の人で、かなり待たされたが、その音楽と踊りはものすごく素晴らしいものだった

ピラミッドはもちろんよかったのだが、ある意味僕にとっては、ピラミッドよりも、このスーフィーダンスのほうが、何倍もエジプトに来てよかったと思えるほど、感動させられた。スーフィーダンスは、民族楽器の打楽器や管楽器を中心にした楽団と、踊り手が合同、時には単独で、1つの宗教的?な物語を演じていく形式で進行していく。西洋でいうところのイスラムバレエ?といった感じだろうか

イスラムの教えには興味ないが、イスラム音楽にはかなり興味が沸いた

興奮さめやらぬ まま、またタクシーに乗って宿へ戻ってくる。するとサファリホテルに泊まっている、翌朝ルクソールへ行くという青年がいたので、一緒に行くことにする

明日は早くから列車で移動だ。

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