旅日記77 エジプト編Vol.2
 「ルクソールはかった」

 8月20日ー21日

 サファリホテルに泊まっていた大学生、シライ君と朝7時半の列車でルクソールへと向かう。もう1人、1日だけルクソールに行きたいというおっさん、、、おっさんといっても本当はまだ32歳らしいのだが、彼のぼてっと出たお腹と、薄い頭と、挙動不審な仕草がおっさんくさいので、愛称として?そう呼ばれていた、そのおっさんと3人で行くことにした。オンボロの2等車で揺られること10時間、ルクソールに着いたのは、夕方の6時前位

ギザ以上にしつこくうるさい客引き達をくぐり抜けて、駅に程近いホテルにチェックインする。シャワー、トイレ、ファン付きのトリプルが、1人6ポンド、約180円

おっさんは、ルクソールのマクドナルド限定のパピルスが欲しいらしく、1人で出かけたので、僕達は相乗りタクシー、0.25ポンド、7.5円に乗って、カルナック神殿に行く。しかし6時半でもう終わりだと言われ、中に入れてもらえない。そしてそのままとぼとぼと歩いて帰ってくるハメに。残念だ

帰りに道、水と野菜とメロン、そして店先につるされたマトンの肉を量り売りで切ってもらい、買って帰る。水が2リットルで1.5ポンド、45円、野菜がジャガイモ2個、たまねぎ1個、ナスとズッキーニが1本ずつ、そしてにんにく1個であわせて3ポンド、90円、よく熟れたメロンがまるまる1個で5ポンド、150円、そしてマトンが0.25キログラムで4ポンド、120円

宿に帰ると、レセプションでおっさんが先にもう帰っているというので、階段を上がって、部屋の中に入ろうとするが、寝ているらしく、いくら呼んでも起きてこない。ドアをかなりはげしくガンガンたたいても駄 目。しかたなく宿の兄ちゃんに言って、合いかぎであけてもらう

フランクフルトで買ったカレールーと米があったので、カレーを作って食べることに。そしてお楽しみのメロンは冷凍庫で冷やす

カレーができる頃におっさんも起きてきて、3人でカレーを食べる。マトンは少し硬かったが、でもまずまずの味。本当は鶏肉か豚を探していたのだが、イスラム圏で肉といったら、マトンが1番手に入りやすく、「生きたままの鶏」以外は見かけなかった

そして冷え冷えの熟ーれ熟れのメロンちゃんを切って食べると、それはもう、この世のものとは思えないほど、濃厚でねっとりとした甘さで、めちゃウマ。いままでの人生の中で、最高に美味いメロンだと思う。この甘さは気候のせいかどうかはわからないが、エジプトに来て1番の感動。これからはエジプトはピラミッドや遺跡ではなく、メロンの国と呼ぶことにしよう

翌日、おっさんはツアーに参加するというので、彼と別れ、僕達2人は部屋をチェックアウトした後、ホテルで自転車を借りて、遺跡を見て回ることに。しかし自転車を借りる時に、5分でいいから日本人の客引きを手伝ってくれと言われる。手伝ってくれたら、後でシャワー使いほうだいと、水をあげると言われた。けして悪いホテルではないが、そんなことをする義理もないので断ると、いいじゃないかそれくらいと、逆ギレされる

こっちも頭にきて、俺達には時間がないから、早く自転車を持ってきてくれというと、遠くの自転車屋で借りてくるから10分待て、その間暇だろうから客引きを手伝えなどとまだほざく。さっきは、すぐ持ってくると言ったから借りることにしたのに、それだったらキャンセルだと怒鳴ると、わかった3分で借りてくるから待ってくれと言われ、待つことにする。その差7分はいったいどこから出た数字なんだ

しかし自転車が届いたのはそれから15分後、しかも今にも壊れそうな超オンボロ自転車が2台。待ってる間に、どこからか部品を拾ってきて組み立てたんじゃないかと思うほどだ。これで1人1日5ポンド、150円

いつまでもぶつぶつ言ってもしょうがないので移動することにして、まず最初に行ったのは昨日見損ねたカルナック神殿。ここでもシライ君に学生証を借りて、半額の10ポンド、300円でOK。中に入ると、かなり破損が酷かったが、それでも大きな柱が並ぶ大列柱室はなかなかのもの。しかし神殿のあちこちにある、さまざまな像や壁画の顔という顔が壊されており、少し物足りない。顔が壊されたのは、アラブがエジプトを侵略した時だとのこと。そういえばイースター島でも、モアイの目に魔力があるといって、全部壊し、さらにうつぶせにして顔を隠すように倒されていたが、これもそれに似たようなものなのだろうか

お昼頃になって、かなり暑くなってきたので、先を急ごうとルクソール神殿に向かう。そしてルクソール神殿の前から、船に乗ってナイル川を渡り、西岸へと向かう。途中観光客用の船の客引きに、怒涛の用に声をかけられるが、それをくぐりぬ けて僕たちは現地の人の足的なボロ船に自転車を引いて乗り込む。これが往復0.5ポンド、15円

西岸に着いて、また自転車をこいでメムノンの王像を通って、西岸の遺跡の入場チケット売り場を目指す。ここでは王家の谷の、ツタンカーメン王の墓を除く、すべての西岸の遺跡のチケットを扱っており、逆に言うと、ここでチケットを買っておかないと、遺跡に行っても中に入れない

僕達は王家の谷と、ハトシェプスト埋葬殿のチケットを買う。そしてここでも学生証を借りて、半額の16ポンド、480円で済ませる。そしてここから自転車で砂漠の中を抜けてハトシェプストへ

ハトシェプスト埋葬殿は、1997年にテロリストによる、観光客を狙った大虐殺が起きた場所で、その時日本人10人を含む、60数名のツーリストが皆殺しにされた。このことをサファリホテルで聞いてきていたので、この遺跡を目の当たりにして、少し胸が痛む

しかし遺跡は、現在ではかなり修復が進み、鉄筋の真新しい建物となりつつあった。大虐殺事件の時の、銃撃戦による痛みもあるのだろうが、セメントで固められた遺跡というのも、なんだかありがみが薄れてしまう気がする

しばらく見た後、先を急ごうと王家の谷を目指すが、ここから山を1つ越えないといけないと言われ、しかたなく自転車をその場に置いて、タクシーに乗ることにした

しかしここにはタクシーが2台くらいしかなく、思うように値段交渉が進まない。結局1人7ポンド、210円を払って、王家の谷とハトシェプストを往復してもらうことに

 王家の谷に着き、ラムセス9世や、4世などの墓を見て回る。墓の中の壁画はなかなかすごい。シライ君がツタンカーメンの墓を見たいというので、入り口でチケットを買うことに。これがバカ高く、当然のように学生証を借りて使ったが、半額でもこれ1つで20ポンド、約600円だ

中はかなり狭く、あっという間に玄室へ。その中にはツタンカーメン王の本物のミイラが、レプリカの黄金のデスマスクをつけて眠っていた。しかしなぜかあまり感動がわいてこない。ちなみに本物のデスマスクは、カイロのエジプトの博物館にあるとのことだが、宿代180円のこの国で、一般 の人はこれだけに40ポンド、1200円も支払うのかということの方が、驚きだった

来た道を引き返し、ルクソール神殿へと戻ってきたのが、夕方の4時。このときには気温が50度を超え、暑さでほとんど意識はもうろうとしている。しかも移動手段は自転車ときている。さすがにキツイ

シライ君もおっさんに洗脳されたのか、マクドナルドのパピルスが欲しいというので、店に入ることにする。ここで食べたなんてことのない、チーズバーガーとポテト、コーラセットのうまいこと。マクドナルドで感動したのは、これが最初で最後かもしれない。暑さで頭がおかしくなったかどうかは定かでないが、まさにエジプトマジック!?だ

そしてシライ君はその、ルクソールのマクドナルド限定パピルスを3枚も買う。1枚10ポンド、300円。しかしモノを見せてもらうと、ペラペラのパピルスに、普通 のとの違いはマクドナルドのMのマークが入っているだけ。僕は当然のごとく買わなかったが、シライ君は大喜び。しかし少し触っただけで、ぺキっとかけてしまったようで、あまり良質とは言いがたいもの。この時彼は、後に自分が、なぜこのようなものを3枚も買ってしまったのかと、しばらくの間落ち込み続けることになるなどとは、知る由もない

おっさんに、いいよお、限定だよお、いいんだよおおおと、吹き込まれたらしいが、彼はどうやら限定品という響きに弱いようだ。さすがは今時の大学生。ちなみに僕が弱いのは、特価、激安大売出しの類。感覚が主婦とかわらん

宿に戻って荷物を取り、駅へと向かう。そして6時頃ルクソールに着いた列車に乗ってアスワンへ。チケットは前日、駅のオフィシャルカウンターへ行った際に、40ポンドとまたもや、めちゃくちゃふっかけられたので、いきなり列車に飛び乗って車内で購入。これがアスワンまで15ポンド、450円

3時間後、アスワンに到着し、駅近くのホテルにチェックインする。ここがファン付で1人6ポンド、180円

明日はナイル川沿いの町、アスワンでのんびりすることにしよう。

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