旅日記13 タイ編 Vol.5 「とうとうきたっ! P`

2月11日(晴)〜12日(晴)

 

 とうとうきたっ!僕はトイレに駆け込んだ。しばらくして干物のようになりながらベットに戻り時計を見る。まだ夜中の3時。どうやら昨夜のタイ料理があたったらしい。またしばらくすると発作がおこる。恐れていたことが現実となってしまった。腹にものすごい激痛が走る。

 その後10分間隔で訪れる発作と格闘する。しばらくはトイレとお友達になりそうだ。薬を飲んでベットに入るが眠れない。結局そのまま朝を迎えることになった。少し発作がおさまるのを待ち、念の為もう1度薬を飲んでホテルをチェックアウトする。今晩は例のトラベラーズチェックの件でフロリダに電話しなくてはいけないので、コレクトコールが使える少し良いホテルに泊まる予定になっていた。

 タクシーを拾うとホテルの名と場所を告げ車を出してもらう。今回はじめて事前交渉をせずメーターで走ってもらったのだが、事前に値段交渉をするよりもはるかにメーターの方が安上がりなことを知った。これで約70バーツ、210円。

 先日お世話になった牧野さんの勤めるホテルサンルートにチェックインする。本来1泊1800バーツのところを特別に1500バーツにしていただく。それでも約4500円。 僕が泊まるクラスの4泊分である。

 しかし通された部屋は24階建ての23階、おそらく室内の雰囲気からはスイートルームらしい。広々としたダブルベットに足を伸ばしたまま入れそうなバスタブ、豪華な照明が部屋の中を飾り、TVは日本のNHKまでやっていた。もちろん外線も使えここならネットも繋がる。

 僕のような者がこんな所に泊まって言いのだろうかと思いながらも、体調がすこぶる悪かったので病院に入院したつもりでふわふわのベットで体を休める。しかしあいかわらず腹痛と下痢が止まらない。

 あまりにトイレに頻繁に入りすぎた為に紙がなくなった。フロントに言って紙をもってきてくれと頼む。わかりましたと言われ待つが10分たってもこない。もう1度電話をかけ待つ。同じ事を延々と繰り返す。必死にこちらもトイレを我慢しているものだから段々キレてきた。結局初めに電話したときから1時間以上たってトイレットペーパーが届けられ寸前のところで事無きを得る。

 これだからタイ人はと思って憤慨していたのだが、さすがはちゃんとしたホテルだけあって、すぐマネージャーが先程のルームサービスの女性を連れてお詫びに飛んできた。

 初めフルーツの盛り合わせを持ってやってきたので、そんなものを頼んだ覚えはないがと言うと、先程のお詫びですとのこと。僕は気にしないでくださいと笑って答える。

 本当は結構怒っていたのだがまあいいやという気持ちになった。げんきんなものである。

 あいかわらず体調はいっこうによくならない。脱水症状を避ける為に水だけは飲んでいたがさすがに夜になるとお腹がすいてきた。ホテルの2階に日本料理屋があったので卵雑炊と茄子田楽を頼む。

 この店の板前は腕がいいとの評判だったが、確かに日本の老舗の料亭でも十分やってゆけそうなくらい確かな技術がこれだけの料理からも感じられた。しかも値段はこれで180バーツ、約540円。他の物も件並安かった。

 さらにここにはマガジンとサンデーも置いてある。僕は旅の間の空白を埋めるようにその後腹痛も忘れて1時間程そこに居座り続けた。

 部屋に戻るとそろそろいい時間だったのでフロリダにコレクトコールを入れる。すると今日返事をするので電話をくれとのことだったのに、今上でいろいろ調べているので3週間後の月末29日にもう一度こちらに電話をくれと冷たくあしらわれる。やはり日本人だからということでなめられているのだろうか、その対応からは誠意というものがまったく感じられなかった。僕はしかたなく受話器を置く。これではわざわざこのクラスのホテルに泊まった意味が無い。

 体調がさらに悪化してきたので、もう1度薬を飲んで寝ることにした。明日ますます状態が酷くなるようでは医者にいかなければならないかもしれない。

 夜中に1本電話が鳴ったがそれ以外はぐっすり眠ることができた。

 

 

 翌朝目覚めるとまだ軽い腹痛と下痢は続いていたが、昨日に比べると幾分かましになっていた。少し状態が収まるのを待ってホテルをチェックアウトし、タクシーに乗って国立競技場の近くの安宿街へと移動する。

 メーターでの移動が一番安いことがわかったので値段を事前に交渉せず乗る。朝ということもあって少し渋滞に巻き込まれたが、それでも70バーツ、約210円くらいだった。

 タクシーを降り宿にチェックインする。先週泊まったBBが個人的に雰囲気が1番好きだったので、そこにとりあえず3泊することを告げる。

 部屋に入ると横になったが眠れないのでロビーでくつろいでいると、先週ここでやった日本人親睦会に後から顔を出した大学生の1人が、あれ戻ってきたんですか?と声をかけてきた。

 しばらく話込んだ後彼はもう1人の相棒と伊勢丹で待ちあわせをしているとのことだったので別れて僕は部屋に戻ることにした。

 少し体調がよくなっていたので、ギターを持ってサヤームスクエアーへ移動する。

 すでに夕方の4時だったので、それ程人は多く無かったがそれでもパラパラとお金を入れてくれた。これ以上やっても今日は駄目かなと思い引き上げようとすると1人の少女がピンクのバラの花を1本差し出してきた。どこから来たのですか?といわれ日本と言うといつまでいるのかと聞いてくる。来週いっぱいかなと答えると、よい旅行になるといいですねと言って去っていった。1時間程やって50バーツにしかならなかったが、この花1本で今日はOKかなと思いそこを後にする。

 ただまだ歌い足りない感があったので伊勢丹の前へ移動することにした。そこで歌いはじめるが、しばらくすると女性警官が近寄ってきてタイ語で、ここで歌っては駄目だみたいなことを言われ注意された。

 僕はそのおばちゃん警官が離れていくのを待ってまた歌いはじめる。するとまたこちらにやってきて何か注意する。僕はすまなさそうな顔をして止める。おばちゃんがいなくなるのを待ってまた歌い始める。そんなイタチゴッコを繰り返す。

 しかしさすがにおばちゃん警官もキレてきたのか、ずっと恐い顔をしてこちらを睨んでいる。しばらく待ったがずっと睨んでいたのでしかたなく今日は店じまいにすることにした。僕は去り際に日本語でおばちゃんに向かって「ケチ」と笑って言うと、意味がわからなかったらしくキョトンとしていた。

 帰りにコンビ二でパンと飲み物を買って帰る。今日のストリートライヴの売上が夕食にかわった。

 宿のロビーで食事を終え、時計も午後7時をさしていたので僕はタイ人のPoom(ポム)という女の子の携帯を鳴らす。この娘は僕の日本の友人で僕の旅のHPを作ってくれている水島さんのメール友達で、もしよかったら変わりに会ってきてくださいよと大役を仰せつかっていたのだが、僕が転々と宿を変えていることもあってなかなか連絡がとれないでいた。しかし昨夜彼女から連絡があり、日曜日に会いましょうと携帯の電話番号を聞いたので事前確認をすることにしたのだ。

 電話で明日の正午にサヤームのマクドナルドで待ち合わせをすることにする。彼女が自分の女友達を2人位連れてくるとのことだったので、こちらも日本人の男性を連れて行ってもかまわないか聞いてみる。今日の昼間の大学生に明日の事を話すとすごく行きたがっていたので一応確認してみたのだが、ぜひとのことだったので僕も1人よりは心強いとほっと胸をなぜおろし、明日会いましょうと言って受話器を降ろす。

 昼間はなんともなかった腹がまた少し調子が悪くなってきたので早めに休むことにする。

明日までに直ればいいのだけれど。

 

 

 

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