旅日記73 スペイン編Vol.1
 「ガウディ見」

 8月12日

 ホテルで宿泊に付いていた朝食を取った後、チェックアウト前にまずは今晩の宿探しと、昨晩乗り過ごした夜行で、今日ジュネーヴに向かうスズキ君を除き、3人でランプラス通 り近くの安宿巡りをする。すると少し奥まった所にある、日本人経営というユースのドミトリーに空きがあったので、そこに移動することにした

僕は明日マドリットに向かうので1泊、彼女達はなんと9泊もすると言う。別 にパルセロナがつまらない街だとは言わないが、そんなにここにいるよりは、南の方にでも行ってみればと話すが、いやこれでいいのだとのこと。まあ人それぞれ旅のスタイルはあるので、かまわないけれど。宿代、ドミトリー1泊2800スペインペセタ、約1680円

荷物を移動させた後、スズキ君の荷物も僕の男性用ドミトリーの部屋に預かり、僕はギターを持って4人でくり出す

 最初に行ったのは、バルセロナへ来た人のほとんどが訪れるという、サグラダファミリアの大聖堂。ミーハーな僕は、これを見る為だけにバルセロナへ来たといっても過言ではない

しかし期待に違わず美しい建物で、圧倒される。しかもまだ建築途中とかで、作者のアントニオガウディ自身はとっくに亡くなっているというのに、完成はまだこの後200年も先とのこと。新しく作っている部分も見てみたが、これもさすがと思わせるシロモノだ

本当なら中に入って、塔の上にも登ってみたかったのだが、ハイシーズンということもあって、ものすごい人の行列だったので、外から眺めるだけにして次の場所へと移動することに

そこから歩いて次にやってきたのは、同じくガウディ作のカサミラ。ぐにゃぐにゃと歪んだ曲線で構成されているマンション?だが、何やらテナントが沢山入っていて、言われないとソレだと判り難いモノだ。それでもガウディらしいというか、楽しげな建物ではある

そして地下鉄に乗って、さらに歩くこと、いや迷うこと?1時間、やってきたのはグエル公園。公園と言ってもバルセロナ郊外の小高い丘をまるまる公園にした、ガウディプロデュースの、今でいうテーマパークのようなものだ

はあはあと息を切らしながら、やっとのことで頂上近くまで上る。しかしここで僕の腹の具合が悪くなり、鈴木君にギターを預けて、せっかく上ったというのに、また入り口まで下りて、トイレに駆け込む。ふうっあぶなかった、ぎりぎりセーフ

男子トイレは空いていて助かったが、これがもし行列を作っている隣の女子トイレだったらと思うと、少し青くなる。ああ、男に生まれてよかった

訳のわからないことをほざきながら、はあはあとまた息を切らして上まで登り、4人で丘からバルセロナの景色を眺める。なかなかの絶景だ

綺麗な景色を見て気分のよくなった僕は、ここでギターを取り出し1時間ほど、旅で書いたオリジナル曲を中心に歌った。日本語の歌がわかるかどうか疑問だったが、それでも皆珍しそうに見ながら通 って行く

歌い終わって3人に感想を聞くと、うん、いいよ最高と言ってくれた。特に日本語のわからない彼女達が、本当に心からそう思っているかは知る由もなかったが、とりあえずありがとうと言っておく

 スズキ君の列車の時間が近づいたので、そろそろ帰ろうということになるが、彼がまだ大丈夫というので皆で一緒に晩御飯を食べることにする

4人でパエリヤ屋に入り、3皿程注文しシェアすることに。シーフードのパエリアなどを頼むが、これはどう?と僕が押したイカ墨のパエリアだけは、お願いだからやめてくれと彼女達の反対にあい、却下される。台湾人はイカ墨嫌いなのだろうか

パエリアは日本でも数回食べたことがあり、個人的にはイタリアンのリゾットやドリアの方が好きだと思っていたのだが、これはどうして、なかなか美味い。パエリヤも悪くないと思い直すには充分だった

しかしくつろぎすぎて、もうスズキ君の列車の時間がやばいということになり、4人で走って宿に戻る。スズキ君の荷物を取って地下鉄駅へと急ぎ、ここからは僕達2人だけでサンス駅へと向かった

走る走る走る!これでもかという位走った。しかし駅に着くと、僅か1分前に列車が出てしまったとのこと。2人してガックリと肩を落とす。しかもスズキ君、2日連続で同じ列車に乗り遅れ決定!はっきり言ってアホだ

スズキ君にトドメをさしてみたものの、気の毒に思い、なんとかならないか他の列車を探してみる。しかし今のが最終だったようで、今日もまたバルセロナへ滞在することになった彼は、まず宿を探すはめに。しかし今日は土曜日の夜、昨日の経過から言っても簡単にみつかるとも思えない。彼が途方に暮れていたので、ひょっとしたらと、駅のチケットカウンターで今晩のマドリッド行きの夜行に空きがあるか聞いてみた。すると1時間後の列車ならOKだと言う

ユーレイルパスで1500ペセタ、900円だったので、僕はそれを予約し、今日の宿を彼に譲ることにした。どのみち明日マドリッドへ行こうと思っていたので、昼間移動するのも夜移動も大差ない

急いで宿へ引き返し、受け付けの兄ちゃんに事情を話すと、ベットを譲っても問題ないと言う。スズキ君から支払い済みの宿代を受け取り、そのまま荷物を持ってサンス駅にまたUターンし、マドリッド行きの夜行列車に飛び乗った

スズキ君はしきりに恐縮して、日本に帰ったら仙台名物のササカマと牛タン送りますと言っていたが、その後の旅メールだけでいいからと笑って返す。台湾の2人にはお別 れが言えなかったので、よろしく伝えておいてと頼んで、手を振って彼と別れた

最後までドタバタのバルセロナだったが、なかなか楽しい1日だったなと、簡易寝台のベットの中で、今日1日の出来事を振り返った

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