麻雀ビギナーズ講座

あばうと麻雀・ABOUT MAHJONG ESSAYS

第十回 ”代表的な手役(6)”
「七対子」


七対子(チートイツ)について

 麻雀の手役が、4面子1雀頭を基本として構成されるものであるということは、このコーナーの最初でも書かれていますが、その例外となる役が2つ存在します。
 一つは役満の「国士無双」です。一九字牌を一牌ずつ(雀頭として、どれか1種だけ二牌)集めて完成するこの役は、麻雀に疎い方にも結構有名なのではないでしょうか。しかし、役満に設定されている手役だけに、その出現率は低く、まる一日麻雀をしていても、その和了り形にお目にかかるのは稀でしょう。当然、こういった出現率の低い役は、常時作戦に組み込んで活かすことも難しくなってきます。

国士無双

 そこで、もう一つの特殊形手役、「七対子」に着目してみましょう。「ニコニコ」とも呼ばれるこの手役は、その名の通り、7組の対子を集めて、完成となる役です。面倒な決まりごとや、面子選択の煩わしさが伴わない役なので、対々や混一と並んで、初心者がよく狙う手役でもあります。出現率も、状況によっては平和やタンヤオに匹敵するくらいの高さを誇ります。狙えるチャンスの回数というところまで話を広げれば、半荘一回に一度はある、と言っても言いすぎではありません。だからといって、お手軽な手役であるかといえば、そういう訳でもないのです。

七対子

 七対子は面前が条件の役なので、選択ミスで遅れた分を鳴きでカバーするという事ができません。つまり、手の進み具合は、自摸任せということになります。その点だけ取り上げれば、平和もそう言えるのですが、平和のような面子手は、両面の受けが多く残ることになります。これは、単純に考えれば、一つの受けに対して、有効牌が8枚あるということです。それに比べ、七対子は、同じ牌をもう一枚引いて、対子を作らなければならないのですから、、一つの受けに対しての有効牌は3枚ということになります。また、聴牌形が必ず単騎待ちになるため、和了り牌の数も3枚ということになります。そう考えると、聴牌にたどり着いても、和了り易い役とは言えません。
 こういった特徴を持つ役ですから、余程の事がない限り、好んでこの役を狙う人は少ないと思います。人一倍「勘」の悪い筆者も例外ではありません。ですが、いわゆる「ツカないとき」は、普通に面子手を狙っても、思うに任せないことが多いはずです。両面の受けがいっぱいあるのに一枚も入らないとか、これといったミスをしていないのに少しも手が進まないなんていう「ツカないとき」を未体験の人は、何回か麻雀を経験した人の中では、まずいないと思います。こうした状態の時でも、対子ならいくつか出来ているはずなので、こういう時に七対子狙いが、重要な戦術になってくるのです。(余談ですが、筆者の見解では、世の中には麻雀に好かれている人というのがいます。その人は、攻めても降りてもミスしても、全然手が腐ることがないのです。当”DAME雀”のメンバーでは、心理テストコーナーの主催者・タートミ先生がそういった人種にあたるようです。)
 具体的には、孤立したドラや字牌を切らずに、持ち続けることで対子になるチャンスを待つのが、基本戦術になります。「ツカないとき」は相対的に、他の「ツイてるひと」に手が入っているものなので、その人の手を速めたり(翻牌を鳴かせたり)、高めたり(ドラを鳴かせたり)することに協力しないように我慢することが必要でしょう。こちらがある程度か面子手が組めそうな状態であれば、無理に翻牌などを絞る必要はないのですが、「ツカないとき」はどうしても手が遅れがちになるものです。どうせ自分が遅いのなら、相手も足止めしながら手を進める方が有利なのは、言うまでもないでしょう。そんなときに、七対子が有効な武器になるのです。面子手の場合は比較的、自分の手に要る牌とそうでない牌がはっきりしてしまいますが、七対子なら一見バラバラな牌どうしでも、2枚ずつ揃えていけば完成に近づくのですから。
 また、こうした「受け」の戦法だけでなく「攻め」の武器としても七対子は並々ならぬものがあります。待ちの悪さに関しては、どうしようもありませんが、リーチをかけて和了った時の破壊力は強力で、ドラ内蔵なら満貫以上が期待でき、自摸和了りや裏ドラ次第ではハネ満、倍満も見込めるのです。「七対子はハネ満への抜け道」というのは、あの有名な麻雀マンガでも語られたところです。
 言うまでもありませんが、麻雀は理論だけで語れるゲームではなく、運や勘といったオカルト的要素が勝つために重要な位置を占めています。運を自分で育てるというのは、最近あの方が言い出してから、定説になりつつあるようですが、勘に関しては、麻雀以外でも随分昔から、人それぞれ色々な方法で、磨き鍛えることに力を注いで来たのではないでしょうか。中国の易学が、実は大量のデータに基づく統計学的判断であるように、勘というのも、実はその人の中で培われた経験則が導き出す結論ではないかという気もしますが、本当のところは分かりません。
 七対子を狙いながら、場に2枚見えている牌を切って、その次の自摸がさっき切った牌だった、なんていうのが麻雀の日常茶飯事である筆者としては、勘の正体よりも、鍛え方の方にどうしても頭が行ってしまいます。
 とりあえず、麻雀に限らずとも「勘」を養う手段として七対子はなかなか有効なのではないかと思います。


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